いまさらなのだけれど。

ジョゼと虎と魚たち (角川文庫)を読んだ。短編集で、ほとんどの作品が驚くほど ぱつん と終わっていた。解決されても、されていなくても。次の行に一瞬後のシーンが続いていても何らおかしくはなく、むしろそうであるべきところに突然現れる空白。ぽん、と投げ出されたようになり、そして自分に帰る。人の人生の中の一瞬の点を覗いていたのだなあ、ということに気付く。
内容としては、ひとりで生きていく女の話の集まりで、孤独を抱えるだとか人生は結局ひとりだとか大仰に構えることなく淡々と、でも激しく毎日を送る主人公たちだった。
いやー、ほんと見くびっていた。ただの源氏物語好きなオバサンだと思っていた。